私たちの仕事の流れは、構造計画、構造計算、構造図作成、工事監理に大別でき前者3項目をひっくるめて構造設計と捉えています。
本来、構造計画は建築の基本設計に含めて捉えるべきものです。
用途によっては、法的規制や間取りなどの諸条件によって既に形が決まってしまう場合など実際に構造計算(一貫構造計算プログラムソフト使用)を行って架構列を修正したり、想定した壊れ方になっていない部分を補強したりします。
最も困難を伴う場合は、耐震要素の不足や基準規定からプランを変更しなければ構造体が成立しない時です。
一からの構造計画の見直しを行いプランに大幅な変更が生じプロジェクトそのものが成り立たなくなる危機寸前の時です。
一番胃がきりもみ状態になる時です。
構造設計者の人格(逃げない、誤魔化さない、根気強い)と構造的センス(力量)が要求される時なのです。
建築家の発想と助言を得てこの困難を乗り越えた時の喜びと安堵は格別です。
構造設計者に求められるものは不撓不屈の精神と事実を共働者に正確に伝え不正な要求に屈することなく、若し、聞き入れられない時は、はっきり責任をとれる覚悟です。
そして、そのためにも建築主に対する説明責任が果たせる立場が保証されなければなりません。
ただ、忘れてはいけないことは、私たち自身が技術的に未熟で解決能力が不足していないかと言うことです。
だから、常日頃から研鑽に励み、精進を心掛ける必要がいります。
私たちは判断に迷った時、虚心坦懐に恥じを忍んで優秀な第三者(構造技術者)に相談をし、意見を求めることにしています。
構造設計は奥が深く、前述の場合でも、別の構造設計者なら難なくクリヤしてしまう場合だってあるかもしれません。
そのようなことのないようにとことん突き詰めなければなりません。
尚のこと、精進を怠ってはいけないのです。独善は決してよくありません。
構造技術者は謙虚である方がいいのです。
そして、そのことが、建築主から戴いた仕事に対する責任であり、建築主に対する窮極の責任であると思います。